読み方:そうぞくぜいのしょうきぼたくちとうについてのけいげん
解説
相続人等による事業の継続・生活基盤の維持に配慮して設けられた租税特別措置。 平成22年4月1日より下記のとおり大幅に改正された。その理由は、改正前の規定では、相続後に事業等を継続しない場合など、制度趣旨に照らして必ずしも適格とはいえない場合でも一定の軽減を受けることが可能であった為である。 平成22年3月31日までの
相続・
遺贈については改正前の、平成22年4月1日以後の相続・遺贈については改正後の規定が適用される。
(1)小規模宅地等の要件の見直し
改正前は、相続人等が
相続税の申告期限まで事業または居住の継続をしない小規模宅地等についても、上限面積200㎡・軽減割合50%の課税の特例の適用を受けることが可能であった。しかし、今回の改正により、申告期限まで事業または居住の継続をしない小規模宅地等は対象外とされ、課税の特例を受けられなくなった。したがって課税の特例を受けるためには、申告期限まで事業または居住を継続する必要があるので注意が必要である。
宅地等 |
改正前 |
改正後 |
上限面積(㎡) |
軽減割合(%) |
上限面積(㎡) |
軽減割合(%) |
事業用 |
事業継続 |
400 |
80 |
400 |
80 |
非継続 |
200 |
50 |
- |
- |
不動産貸付 |
200 |
50 |
200 |
50(※) |
居住用 |
居住継続 |
240 |
80 |
240 |
80 |
非継続 |
200 |
50 |
- |
- |
(※)50%減額となる不動産貸付の用に供されている宅地等についても、事業(保有)継続要件が付加されている。
(2)共同相続した場合の見直し
改正前は、課税の特例が受けられる小規模宅地等を複数の者が共同で相続等により取得した場合には、その取得者のうち1人でも適用要件を満たす者がいるときには、その小規模宅地等の全体が80%軽減割合の対象とされていた。しかし、今回の改正では、取得者ごとに適用要件を判定することになった。例えば改正前は、自宅の敷地の場合、配偶者が10分の1、同居していない長男が10分の9といったように、配偶者が一部でも取得すれば、その敷地全体について240㎡までが80%減となったが、改正後は、配偶者が取得した10分の1だけが軽減割合の対象となる。
【特例居住用宅地等について80%減額を適用する場合の例】
<例1>被相続人の居住用宅地等を配偶者Aと、同居していない親族Bが相続等により取得する場合
(※)被相続人の居住用宅地等の上に、生計を別にする親族が建物を取得して居住している場合は「非同居」となり80%軽減適用はできない。例えば
区分所有建物タイプの
二世帯住宅も「非同居」となるので、80%軽減適用はできない。
<例2>被相続人の居住用宅地等を同居していた親族Aと、同居していない親族Bが相続等により取得する場合
<例3>被相続人に配偶者も同居親族もいない場合で、被相続人の居住用宅地等を親族が相続等により取得する場合
(※)相続開始前3年以内に日本国内にある本人または配偶者の所有する家屋(相続開始直前における被相続人の居住用家屋を除く)に居住したことがない親族に限る。
(3)宅地の上に存する一棟の建物のうち、居住用と貸付用がある場合の見直し
改正前は、宅地の上に存する一棟の建物のうち、居住用部分が含まれている場合には、特定事業用宅地等に該当する部分以外のすべての部分が特定居住用宅地等と同様の上限面積・軽減割合とされてきた。しかし、今回の改正で、特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに案分して軽減割合を計算することとなった。
(4)複数の居住用宅地等がある場合の特例適用の明確化
被相続人等の居住の用に供していた宅地等が複数存在する場合には、小規模宅地等の課税の特例の適用について、これまでは明確な規定がなかった。しかし、今回の改正により、特例の対象が「被相続人等が主として居住の用に供していたひとつの宅地等」に限られることが明確化された。
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